鋳造をやってみよう・・・・・でもその前に


このサイトでは「手軽にできる鋳造、原型に忠実にできる鋳造」をめざしていますが、これを見て自分でもやってみようと思われる方は各自の責任のもと以下の事に十分配慮して下さい。

このサイトを読まれて作業中、作業後に負ったケガ、やけど、火災、その他トラブルについては、当サイト作者の責任の範囲外にあります。この点を理解した上で作業を行って下さい。

  • 安全に気をつけて下さい。
    手軽にできると言っても、どうしても刃物や火を使います。個人の責任と注意のもと、ケガ、やけど、火災防止に十分配慮して作業をして下さい。
  • 何を作るか、また作った作品をどう扱うか、規則(法律)や道徳(モラル)を十分考えて下さい。
    うまくなればかなり精密に作品を作ることができます。しかし何でも型をとって鋳造してもいいというわけではありません。
    法律で禁止されていること(著作権等)、
    人として良識としてやってはいけないこと、
    作品の強度や安全に関わること(物や人をぶら下げたり支えたりする製品)
    ・・・・・・・・・には十分配慮してデザインしていきましょう。

私は初めての鋳混みは東急ハンズの方に電話や手紙で教えていただきながら行いました。何回も質問に答えていただき手紙に図まで書いていただき本当にお世話になりました。
青銅の鋳造は長野県松本市の教材を扱っている業者さん(有)コバヤシ造形堂さん宅に一日おじゃましてそこで教えていただきました。
教材の販売だけでなく、精力的に研究をされ、研修指導をして下さるすごい業者さんです。

できるだけ、実際に体験された方についてもらって行うことをお勧めします。


安全面

  1. 原型作り
    彫刻の注意です。刃物の行き先に手をおかぬ事。
    彫刻刀やカッターナイフを扱う場合、固定の手の置き場所に注意しましょう。
  2. 水蒸気爆発に気をつけましょう
    ・鋳込みの時は水分は厳禁です。
    ・作業中に水をすぐ近くに置かないこと。
    防火用の備えも消化器。または砂場の砂をバケツに入れて置いておきます。防火用水を置くのなら少し離れたところに置く。
    ・鋳型の乾燥は十分行う。特に粘土を使った場合。
    ・鋳込みの時に鋳型の上に顔や手、人体を出さない。(融けた金属が水蒸気に押されて吹き出すことがあります)
    ・鋳型を作るとき空気や水蒸気の逃げ場所を作ってやる。鋳型が軟らかいうちに原型に届くような穴を、針金等を使って多数開けておく。特に粘土を使った場合。

  3. 繰り返し申し上げます。くれぐれも水分厳禁
    10ccの水試験官一本分が気体になると石油の一斗缶分18000ccに膨れ上がると言われます。水蒸気爆発です。汗一滴でも危ないかも知れません。
    1800倍に膨れ上がった水蒸気が融けた金属をまわりにまき散らします。
  4. 身支度
    ・鋳込みの時は極力素肌を出さない。
    ・鋳込みの時、手は手首まで覆う革手袋(大工センターで購入)を着用します。
    ・私は8月の昼の鋳込みでも
    頭には手ぬぐいまたは安全帽をかぶり、体は自動車整備の人が着るようなツナギを着て、足は靴をはいて鋳込みをやっています。
    鋳込みが終わり、頭に被ってあった手ぬぐいを見てみたら焦げて穴があいていた。なんて事もあります。
    ツナギもよく見てみたら背中のところに5mm程の焼け焦げた穴があいていました。多分コークスに着火するときの木炭の火の粉か何かが飛んできたのだと思います。
        無帽、半袖、半ズボン、裸足なんてとんでもないです!!
  5. 鋳込み時の換気をしっかりと
    ・コークスは大量の酸素を消費します。
    ・液体になった金属はさらに気体になりやすく、それだけ肺を通じて人体に入る危険性も増します。
    鋳混みは屋外で行いましょう。冬の豪雪地帯等でやむなく室内で行うときも窓を開け、換気扇を回し換気に心がけましょう。
  6. 炉から鋳型までに歩いて行くところを片付けておく
    真っ赤に熔解した金属が入った坩堝(るつぼ)を持つとまわりのものは一切目に入らなくなります。足元は何も無いように片付けておきましょう。
    ・・・・・と言ってもつかみ箸やこぼれたコークスやスコップがすぐ散らかる。
    「すぐ散らかりやすいんだ」と言うことを頭に入れて。


    つまり、天麩羅(テンプラ)をあげるときの注意点。それがそのまま鋳込みの最低注意に当てはまります!!!


  7. 鋳込みは低いところで行う。鋳型を低いところに置いておく。
    ・鋳型が破けて、湯(融けた金属)が流れ出すときもあります。安全を考えて低いところで鋳込みをしましょう。
    私は時々鋳型の底がぬけてしまう体験をします。正直、ドキッとします。真っ赤な金属がまわりにターミネーター2の液体金属“T1000型”のように流れ出すのです。恐いです。
    低いところで行いましょう!!
    また、坩堝からこぼしてしまう可能性もありますから。
  8. 坩堝(るつぼ)の真上、鋳型の真上に顔を出さない
    何かの原因で(水滴が入るとか)融けた金属が破裂、吹き出す可能性があります。
    多分真上に吹き出すでしょう。
    坩堝(るつぼ)の真上、鋳型の真上に顔を出したのではその直撃を受けてしまいます。興味はあっても絶対に真上に顔を出さないこと。

    そして融けた金属は放物線を描いてまわりに落ちてくるでしょう。
    身支度をきちんとすること。(肌を露出させないこと。)
    逃げ場を確保しておくこと。(まわりに物や人がいないように)

    そして同様の理由より鋳型は充分乾燥させてから使うこと。
  9. 鋳込みをしている人の背後や近くに立たない。半径1.5mは離れる。
    鋳込みに使うつかみ箸が約60cm、プラス腕の長さ。つまり1.5mは最低離れていましょう。「キャー」というときには鋳込んでいる人がどのような挙動に出るかわかりません。鋳込んでいる生徒の近くには教師もいるべきではないと思います。何か起こったとき、生徒が逃げる・・・・・退路をふさいでしまう可能性の方が恐いです。それも恐いというのならば生徒に鋳込みそのものをさせるべきではありません。
  10. 坩堝バサミは片手で握力計の様につかむ
    「左手で片方の柄、右手でもう片方の柄」と持ってはいけません。そうするとふとした拍子に坩堝バサミが開いてしまい、坩堝が落下し事故を起こします。
    必ず「片手でガバッと二本の柄をまとめてつかんで」下さい。
    片手では重い?不安?・・・そうです!!もう一方の手はつかんだ片手の上から更に二重につかむのです。
  11. 「箸うつし」(って言うのかな?)をしない。
    食べ物を箸から箸へ渡すことはタブーとされています。
    必ず、食器に置いてから他の人に改めて箸で取ってもらうべきだと言われます。
    「箸うつし」は斉場で行う行為だからだそうです。

    それと似たことが鋳込みの場面であります。
    教師が真っ赤なコークスの中に埋もれている坩堝(るつぼ)をつかみ箸で引き出す。
    それを生徒が他のつかみ箸で受け取るという場面です。
    決して空中で受け渡しをしてはいけません。
    坩堝を落としたら大変なことになります。

    一旦コンクリートや耐火煉瓦の上に坩堝を降ろし、
     教師のつかみ箸でつかみ、支えたまま・・・・・
    教師「上から2cmの所をつかめ」
    生徒「はい」
    教師「つかんだか?」
    生徒「つかみましたァ」
    教師「放すぞォ」
    生徒「はい」
     ここで教師のつかみ箸をはずす。
    教師「あとは任せた!(温度が)いいと思ったら鋳込め」
     生徒はつかみ箸に伝わる振動の有無で鋳込みのタイミングをつかむ。
    生徒「いきます!」
    ・・・・・とやります。


  12. 研磨も換気をしっかりと
    埃の出にくい耐水サンドペーパーがお勧めです。

  13. “急”のつく行動をしない
    自動車の運転でも言われる事です。急ブレーキ、急発進、急ハンドル・・・全て事故の元です。
    鋳造でも同様の事が言えます。火の近くで“急”な動きをすると思わぬ事故につながります。

このサイトを読まれて作業中、作業後に負ったケガ、やけど、火災、その他トラブルについては、当サイト作者の責任の範囲外にあります。この点を理解した上で作業を行って下さい。

・・・・・とは言っても、これを読まれた方々が恐い思いをしたりケガや事故に遭われることはけっして筆者の望むところではありません。当然!!
ケガや事故がなく鋳造やもの作りを楽しんでいただきたいと思います。

ここに書いてある注意点は「これさえ守れば大丈夫」というものではありません。
これ以外にも留意しなくてはならないことは山ほどあります。
私の体験したり聞いたりしたことの中で「特に」というものを作業の順に書き連ねてみました。

そしてできる限り精選して書いたつもりです。
近年の電機製品の説明書は「安全に使っていただくために」が本当に多くなりました。
「PL法」の影響で、万が一、裁判になったときメーカーが「安全面の注意はここに書いてありますよね。」と言えるようにということも理由の一つらしいです。
しかし、それによって本当に大切なことがぼやけてしまう危険性があると思うのですが、いかがでしょうか?

ケガや事故は「思わぬところ」にあるものです。

各人、「ケガや事故から自分たちの身を守のだ」という思いを大切に、ここに書いていないことにも気をつけて鋳造作業を行ってください。


Sep.9,2002初回製作
Dec.28,2006最新更新

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