鋳造体験記その3(後半)
注:結果として、鋳型に粘土を使うことは水蒸気爆発の危険性がありました。このページをごらんになって同様の事を行う場合には最後まで読み、安全対策には十分留意して下さい。 |
Caution:There is a Danger of "Steam Explosion",if you use wet clay mold.Molten metal may be scattered by steam. |
2回・・・・・3回目、やっと綺麗に流し込みが出来ました。
(fig.40)
金属が、ほんのり赤みを帯びています。
しかし金属を鋳型に流し込んだ直後「ボコッ!」っと何か気体のようなものが真っ赤な金属の中からわき上がりました。
水蒸気爆発のようなものが起きたのかもしれません。
実は、以上の行程は3時間くらいの中で行いました。工作粘土で型をとった後、ストーブで鋳型を乾かしましたが、「少し湿っているかな、顔を前に出さないよう気を付けて鋳込みをしよう」と行ったのです。
工作粘土から高熱で水蒸気が発生したようでした。
ごらんの通り金床の上に鋳型を置き、作業を行ったのですが、後で見てみると金床と鋳型の間がビッショリと濡れていました。
(fig.41)
できあがった作品も、写真左に見られるような小豆大の「空洞」ができてしまいました。おそらく高熱で発生した水蒸気の気泡と思われます。(模様も金属はよく融けていたのに下半分がぼやけたものになってしまいました。)
(fig.42)
(fig.43)
今回はお皿のような開放的な鋳型で行ったので「何かボコッと出たかな」程度ですんだのですが、これがトックリの様な閉じた型での事で更に比重の軽いアルミニウムだとしたら、「湯口から融けた金属が吹き出す」といった大変な事になっていたのかもしれません。
・鋳型は十分時間をかけて乾燥させる。 またはトックリのような「閉じた型」では ・水蒸気の逃げ道をたくさん作ってやる。 ・・・・・ということが大切です。 |
今回使った工作用粘土は「紙粘土成分」が少し入っていました。3回の鋳造によく耐えてくれましたが、かなり焦げてしまいました。
(fig.44)
この型を1週間ほど乾燥させ鋳造を行ったのが次の作品です。
気泡は殆ど出ませんでした。模様もくっきりとできました。
(fig.45)
但し、それでも多少の水分は残っていたのかもしれません。鋳型と台の金床の間は水滴で濡れていました。作品の模様の中央部も少し凹みがありました。
鉄工ヤスリ、布ヤスリ、研磨剤で磨くと下の様に光沢が出てきます。「鋳造体験記2の青銅鏡やバックルの時よりも削りやすい。」という印象がありました。
(fig.46)
反省、まとめ
今回の試み | 結果と考察 |
1,型として、ポリライトの代わりに木を使う。 | OK.但しテーパーを削る手間が大変です。 しかし、応用すれば、木、プラスチック、金属、ロウ、可能性は大きく広がると思います。 |
2,感光樹脂板の代わりに厚紙を使う。 | OK.但し鋳型として粘土を使ったときに、ふやける、剥がれる、の問題があります。やはりプラスチックでできるのならそれに越したことはありません。 また感光樹脂板の手軽さは魅力的です。「切り絵」は大変でした。 |
3,鋳型に鋳砂の代わりに工作用粘土を使う。 | 水分の処理が問題ありです。陶芸用の本当の土の粘土を使い、徹底的に水分を取り除く方法をとらないと、特に「トックリのような閉鎖的な鋳型」を作ったときは危険が予想されます。 最後に行った鋳造の後、鋳型の底面は平面ではなく少し歪んだものになってしまいました。 |
4,坩堝に黒鉛坩堝の代わりに100円ショップのステンレス製ペット用食器を使う。 | 加熱をやめると、急速に冷めていきます。そのときステンレス容器の内側に融けた金属が張り付いていると「熱膨張率」の違いから「ペキッ!」と音を立てて剥がれ飛んでくる事があります。くれぐれも顔を近づけないように注意! とりあえずは何とかできました。 問題は放熱が良すぎて「冷めやすい、温度が上がらない」ということです。坩堝の経費を節約したつもりが燃料費がかかってしまうかもしれません。 ステンレス(鉄とクロム)の溶出についてはまだわかりません。 |
5,亜鉛を加える。 | 機械的性質(粘り気、切削性)はかなり改善されたと思います。前回(鋳造体験記2)の様な「硬い、ヤスリを使うとガラスや黒曜石のように剥がれ割れる」といったことはありませんでした。 竹内合金さんに感謝申し上げます。 金工ドリルの手応えについてはまだ試していません。これからの実験です。 ・・・・・そして、作品の色が黄金色より銀白色になりました。 |
鋳造体験記2、3につきましては竹内合金さんから沢山の事を教えていただきました。ありがとうございました。
これからの課題
・鋳型の材質について更にいろいろな可能性を見ていきたいと思います。
・坩堝は引き続き「100円ステンレス」を使い、燃料にコークスを使って、融け具合や冷め具合を見てみたいと思います。
・亜鉛を加えたおかげで、ヤスリがけはうまくできるようになりました。ドリルに対してはまだ試していません。次回はそれも試してみたいと思います。
May.3,2001更新
【鋳造ができる!】の他のページを見る
他の工作室を見る
【Site
Map】ページにもどる:
【HomePage】最初のページにもどる: