鋳造体験記6−4

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この日はこのあと、選択技術の受講の生徒たちの中で都合のつく生徒が登校して、青銅鏡の鋳込みをしました。
http://members.at.infoseek.co.jp/Kefi_Pallhkari/index-36.html参照
夕方3:00までもう一人の技術の先生と共に、猛暑の中、鋳込みを続けました。
写真が撮ってないのが残念ですが(それどころではなかった!!)思い出せる範囲で文章にしたいと思います。

身支度について

私は「つなぎ」を着て、頭には手ぬぐいをかぶり作業に臨みました。
生徒「先生、それパジャマ?」「”つなぎ”だよ。」「”つなぎ”って何?」「うーーん、自動車整備の人がよく着ているよ。作業の為の専門的な服装。」
「パジャマ」にはガクン・・・・でした。

昨日、タンスからつなぎを出して点検してみると、背中の肩の部分に2〜3ヶ所、焼け焦げた跡がありました。
直径2〜3mmの小さなものですが、前任校S中学校でやはりコークスを扱ったときに付いたのだと思います。
そういえば手ぬぐいも数カ所焦げていたっけ。
集まった生徒にもその話をして身支度の大切さを説いて作業に入りました。

「先生・・・・・つなぎ、暑くない?」(生徒たちは優しい。数回、聞いてきてくれた。)
「いや、結構涼しいよ。」
事実です。普段は私はスラックスにワイシャツ、ネクタイですごしていますがはるかに快適です。
つなぎの下はTシャツでしたが、Tシャツは汗でビッショリ。しかし動くたびに空気が出入りして結構快適でした。
建設関係の人がやはり夏の暑いときゆったりとした作業着で働いていらっしゃるが、もしかしてこんな感じなのでしょうか。

しかし・・・・・炉に火が入り、鋳込みが始まると・・・・・
「先生・・・・・つなぎ、暑くない?」
(生徒たちは優しい。数回、聞いてきてくれた。)
「・・・・・・(しばらく声も出ない)・・・・・・あち・・・・・・」
さすがに・・・・・。

私の作品は結局失敗してしまいました。

いよいよ鋳込み。
教師はいろいろ教え方があるのでしょうが、やはり「やってみせる」という方法が一番だったと思います。
時には、いろいろな事情で、口やプリントで説明して「はい、やってごらん。」もありますが、
説明しながらやってみせると、時にはこちらが言葉では伝えきれなかったコツや手つきを生徒たちは感じ取ってくれる。
すごい能力です。

・・・・ということで、私の鋳込みを最初にやって見せましたが、砂型の間から融けた金属が流れ出すという失敗が起こってしまいました。
http://members.at.infoseek.co.jp/Kefi_Pallhkari/index-41.html参照。
今回は広いコンクリートの低い所で鋳込み作業をしたので落ち着いて「あーあ、出ちゃった」で済みました。(そりゃぁ、正直、くやしかった!!)


耐熱ボンドはまんべんなくついているようにも見えます、緑矢印の所から破け、空色矢印の様に流れて、砂型の一番下、ダボの近くから流れ出たように見えます。
(ダボを打ったあたりの蓋砂と本体砂の形が平らではなく、整合が合っていなかったようにも見えます。)

教訓
くれぐれも鋳込みは低い、広い所で行うべきである。

本体砂型作りの時に原型が端に寄ってしまったりして「液体金属の流出が心配」という生徒には、次の写真のような方法をとらせ、成功しました。


つまり、バケツに砂(砂型を作るときに余った砂をため込んでおいた)をつめ、その中に2/3程砂型を埋めるのです。
これにより、たとえ砂型が破れ液体金属が流出しても、行き先がなくとどまるのです。
・もちろんバケツは金属製の方がいいです。http://members.at.infoseek.co.jp/kefi/c9_c10_s/index.html#umeru熱い坩堝が接触しても問題は起こらない。
・砂型のフチまで砂に埋めてしまいたい気もしますが、そうすると坩堝から金属を流し込むときにかえってやりにくくなります。

坩堝(炉)の温度が上がらず苦労しました

他のせいにしてはいけないが、このタイプの炉は苦労しました。
・私自身の中学生時代、この炉でマイナスドライバーの先端の焼き入れを行いました。多分伝統のある炉なんだと思います。

しかし

・前々任校(I中学校)では刃物の学習でやはりこの炉で焼き入れを行ったが温度がなかなか上がらず苦労しました。
・コークスを喰うのみで、イライラがつのってしまった。生徒もよく順番を耐えました。「先生、私は何時頃?」(いや、耐えきれなかったか。)
・前任校(S中学校)で使った手作り(改造)の炉はhttp://members.at.infoseek.co.jp/Kefi_Pallhkari/index-41.html#ro・・・・・御覧の通りです。坩堝のフチまで真っ赤なコークスが積まれ、坩堝の中は撮影不可能なほどでした。とてもいい炉でした。

原因として
・送風口の小ささ。これによって中央のごく狭い範囲しか空気が来なくてそこしか温度が上がらない。
・送風機のパワー不足。ブロワーがやかましすぎたのかもしれませんが・・・・ワット数も機会があったらくらべてみたい。

対策として考えられる方法・・・・・
・「要は七輪を作ればいいんです。」七輪を使うか?しかし問題として「割れやすい」ということがあります。私自身初任校で七輪と中古送風機で焼き入れの炉を作った事がありますが。
・この炉のまわりに耐火煉瓦を積むか?
 全日本中学校技術・家庭科研究会「理論と実践No.40」の80ページの岐阜県の中学校の先生のレポートにこのタイプの炉の上にブロック(耐火煉瓦かと思う)を3段ほど積み上げてアルミニウムの鋳造を行っている写真がありました。

真夏日、昼、大人数の作業

前任校S中学校で(それも冬、時には早朝)多くて十数名で鋳造を行うのと、
選択授業とはいえ長野県で一番クラス数の多い学校で7月
(ニュースでは「真夏日が○日続いています。」と言っていた。)昼行うのではわけがちがいました。

20分も温度が上がらない炉の近くでイライラしながら坩堝を突っついていると、頭がぼーっとしてきます。
幸いにももう一人の先生にも入っていただき、交代で炉の前に立ったが、大変でした。

教訓
大人数で夏、この作業を行うときは「体力の限界」などという普段あまり考えないことも(ぜいたくもの)考慮しなくてはならない。

「S君、すっごく個人的なお願いで本当に申し訳ないのだが・・・・・・」
「???(S君は何事?と不安げな表情)」
「水が飲みたい。コップが先生の机の上にあるから頼む。」
「はい!」
さわやかな返事を残してS君は走っていき、最高においしい水を汲んできてくれました。私のつなぎの中は汗でビッショリ。
その後も何回も「先生、水」と汲んで来てくれたS君に感謝!!

トイレには・・・・不思議にも(当たり前か?)行きたいと思いませんでした。全部汗として出てしまったか?

T君はまるで外科医の傍らに立ってメス等の道具を渡してくれる助手のように、坩堝ばさみ、火ばさみ、鉄棒を持ち、渡し、受け取ってくれました。
あの暑い中ずーっと。感謝!!

作業場所


砂型の置き方の参考です、作業場所の全景参考として写真を撮っておきました。

溶解金属の入った坩堝を持って歩くため、整理整頓には心がけたつもりでしたが、こうやってみてみるとまだゴチャゴチャしているように見えます。
足下の整理整頓と作業の身支度、「靴をきちんと履く」事注意!!


技術棟北、この屋根の下で鋳込み作業を行いました。写真では夕方の西日が入ってきていますが、昼は直射日光が入らず、金属の色もわかって作業しやすかったです。灰、砂・・・・等、生徒たちも協力して掃除をしていってくれました。


「いい子たちでしょう。」「そうですね」

「生徒たちといろいろ話せたでしょう。」「ええ、よかったです。」

汗だくの一日が終わり、もう一人の先生と研究室でほっと一息。


July.31,2002更新

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