青銅の鋳造・中間まとめ

ベルトバックル「鋳造体験5」までを振り返って、これからの課題


T、各作品作りの長所(価値)
U、これから解決をめざしたい短所(問題点)
V、施設や道具、材料の工夫(より安価に、手軽に、扱いやすく)
  施設・道具
  原型
  鋳型
  金属(作品)
  型どり材
W、温故知新(そもそもプロの方は先人はどうやっていらっしゃるのでしょうか?)


ここで、今までの
1、バックル作り(真鍮の切断と切削)
2、青銅鏡作り(鋳造)
3、青銅バックル作り(鋳造)
                   をまとめてみます。

1、バックル作り  (真鍮の切断と切削)

長野県信濃中学校に赴任して考えたものである。(1998年)http://members.at.infoseek.co.jp/Kefi_Pallhkari/index-10.html

2、青銅鏡作り
長野県松本市K堂さん宅で研修をさせていただいたのが始まりであった。2000年12月

3、青銅バックル作り
長所、価値

しかし以下の問題点やこれから工夫していきたいと思う点がある。

そこで
・より安く 
・より手軽に(究極は「家庭でもできる:生活に生かせる」・・・・・まぁ当分困難だが) 
・より扱いやすく(自分の思いを作品にしやすい)
材料、道具、施設を考え、試行錯誤、実践してみたいと思う。

いままで行ってきた施設や道具の工夫とこれからの問題点(随時更新最終更新2002年8月2日)
       〜〜〜青銅鏡やバックルづくりをしてきて

使ってみた品名
・いいところ
・これから工夫していきたい点
同じ工具「ペンチ」を使うとしても「ペンチで事足りる」「ペンチが必要」・・・・・と、書きようによって長所にも短所にもとらえられますが、私(Kefi_Pallhkari)の願いと見てやってください。
・その他、参考点

 

坩堝(るつぼ)

黒鉛坩堝(こくえんるつぼ)
一番安心して使える。
思った以上に機械的衝撃にも耐えられる。(鋳込みの後、坩堝を逆さにして、あまった金属をトントンとやっても大丈夫:驚き!2002年7月)
高価ではあるが。
 

 

100円市のペット用ステンレス食器
上からガスバーナーの青い火を吹き付けては使えた。
・加熱をやめると、容器は急速に冷めていきます。そのときステンレス容器の内側に融けた金属が張り付いていると「熱膨張率」の違いから「ペキッ!」と音を立てて剥がれ飛んでくる事があります。くれぐれも顔を近づけないように注意!
・下からコークスで熱すると1回ぐらいは使えそうだが、2回目からは穴があいてしまう可能性が高い。(熱による伸縮、融解)
写真のような使い方をすると、ステンレス自体の放熱が良すぎるため、手早い作業が必要。
鋳造体験記3

 

100円市の鋳物フライパン
 
 
未体験

 

焼き入れ用炉
 
うまくコークスや火を配置しないと中心のみしか使えない。
鋳造体験記6

 

手作り(改造)炉
最高に調子よかった。
 
鋳造体験記4
後日、この上に更に1段(耐火煉瓦5個)を乗せて使った。(右の写真)

 

七輪
手軽にできる。
安く手に入る。
容量が小さくあっという間に温度が上がりあっという間に燃え尽きる。コークスの量、射込みのタイミングに習熟が必要。
写真で見比べると上記の炉ほどは温度は上がらない。
長時間の高温で七輪の内側が融けてくる。
鋳造体験記14 七輪で青銅を融かすことができる!・・・か?
数年前、七輪の中で練炭(レンコンのような炭)を燃やし、送風機で空気を送り、ドライバーの先端の焼き入れをやったことがある。
それはうまくいったが、長時間の青銅の融解温度に耐えられるかが問題。

 

焼き入れ用炉の改造2003年
低予算で改造ができた。青銅の融解温度に何とか到達する。
送風機のパワーがあと少しあると余裕を持って作業ができるだろう。
鋳造体験記16
実際に使用した炉は「四隅の木」を「鉄パイプを4本束ねた物」にかえた。

送風機

送風機(写真は炉に附属している物。送風機だけで購入可)
風量の調整ができる。
2〜3万円らしい。高価である。
写真の送風機はパワー不足が感じられた。
鋳造体験記6−4

 

ブロワー
安価
音がうるさい・・・・が頼りがいがある。
(K堂さんアイディア「要は七輪を作ればいいんですよ」)7000円 風量の調整はできないが充分使用に耐える。炉との接合部分はジュースの空き缶(スチール缶)の上下を抜いて作った。鋳造体験記4

 

原型

ポリライト+感光樹脂板
手書きの白黒の原稿さえあればできる。鉛筆、サインペン、墨汁で描ける。
更にコンピュータ画像ソフトと組み合わせることにより 自分の考えたデザインを形にする自由度は高い。
ポリライトや感光樹脂板が高価。
OHPシートへのコピーが必要。学校にはあるが個人では普通持ってない。
太陽光(感光時間の調整が難しい)またはブラックライトが必要。(感光樹脂板焼きつけ機) 鋳造体験記7
作品は凸または凹のみであらわせる形のみとなる。大きな高低や丸みは表現できない。
鋳造体験記2
「自分の考えたデザインを形にする自由度は高い」のだがこの後使う砂型のもろさにより、やや高すぎる感じもする。
教師は「黒いところは細くしないこと」というヒントが必要。(黒い部分が砂型の凸になる。崩れやすい。)

 

印鑑捺印用スタンプ台
安価。カッターナイフでの加工が楽。切断が容易鋳造体験記6
「二液式の硬化溶液で固める砂型」は硬化後「縮み」があるらしく、上のポリライトでは「きつくて抜きにくい」ということがある。
しかしこのゴムは弾力があり、結構抜きやすい。有望である!
彫刻刀はやや難しい。刃が滑ってしまう。特に三角刀が使えないのが残念
 

 

日曜大工センターゴムシート(洗濯機の振動防止用ゴム足と共に売っていた)
100円市スタンプ台より更に安価
厚さがあり重厚な作品ができる。
しかしカッターナイフや彫刻刀の刃はより滑りやすく加工が難しい。
糸のこ盤(機械糸のこ)のテーブルを斜めにして切断加工するといい作品ができる。
→→垂直断面が台形になるように注意して切り、ゴム系のボンドではりあわせて使うという方法にはよい。

 

年賀状用のゴム製版画板
彫刻刀(三角刀)が使えるので、「逆台形問題」が起こりにくい鋳造体験教室4
切断はやや困難。
「逆台形問題」(・・・・・と私は名前をつけました。)
垂直断面がだと問題はない。原型は硬化した砂型からスムースに抜ける。
(図2)
しかし垂直断面がだと・・・・・・
私は砂型がほんの少しこわれて抜けることを期待したのだが・・・・実際はゴッソリとこわれて、囲まれた模様がすっかり抜けてしまう。

 

ねんど消ゴム(塑像)
曲面も表現でき重厚感ある作品ができる。
指では細かな表現ができないが、粘土ベラ(割り箸、爪楊枝、カッターナイフ)等で成形が可能。
粘土感覚で自由に成形できる。幼稚園時から体験していることである。
・・・・・とも思ったが小さな細工は想像以上に困難ではある。「塑性加工のウデ」が必要。
自由に成形できるゆえ「逆台形問題」が起こりやすい。
むしろ型どり剤として有望かと思う。
鋳造体験記6−2

 

ボンド・Gクリヤー
透明、粘着ボンド
 
 
上記、様々の「ゴム」やポリライトを接着するのに使える。
但し油性のためシンナーには弱く、銀の離型剤で融けてしまうこともある。
鋳造体験記6−2

 

ロウ(彫像)
曲面も表現でき重厚感ある作品ができる。
彫刻感覚で自由に成形できる。
カッターナイフ、彫刻刀平刀、彫刻刀三角刀、小さいマイナスドライバーで成形ができる。
大きな力がかかると割れやすい。しかし熱を加えるとある程度の修復は可能。
材料が安価。
長野県信濃町豪雪地帯の金物屋さんにはスノーダンプ(雪かき用のとても大きなそりのようなスコップ)に使うワックスを安価で売っている。
鋳造体験記2それ自体は鬆(す)が入っていて精密加工には使えないが、100円市の鍋とキャンプ用の屋外バーナーを使って融かし(ロウのにおいがあり台所では融かさない方がいい)洗ってよく乾かした牛乳パックに流し込むと、いいワックスの固まりができる。
鋳造体験記4はその方法で作りました。
自由に成形できるゆえ「逆台形問題」が起こりやすい。
「彫刻のウデ」が必要
銀細工のロストワックス専用ワックスは高価。
指輪作りのロストワックス法ではロウを使う。
鋳造体験記1

 

押し固めた発泡スチロールのようなもの
青銅鋳造体験記9

・発泡スチロールより適度の硬さがある。
・ゴム板より彫刻刀の刃がたちやすい。
・木目がないので木より彫りやすい。

 
1990年頃「動く模型」の材料の余り。
夏になると時々大工センターで「夏休み工作の材料」として売っている。

 

木彫用桂板
 
 
(未体験)

 

樹脂粘土
 
 
(未体験)

 

彫刻用石膏板
 
 
(未体験)

 

鋳型

 

砂+硬化溶液+硬化剤
確実
・しかし高価
鋳造体験記6−2
鋳造体験記2

 

上記のリサイクル砂+硬化溶液+硬化剤
 
 
一回使った砂型を砕いて使えないものか・・・・・
K堂さん(これを教えてくれた業者さん)によると「一回使った砂には硬化溶液、硬化剤が入ってしまっていて使えない」とのこと。
それならば水洗いして、乾燥させてどうか?と思う。
水洗いすると泡がたくさん出て、硬化溶液、硬化剤は水に溶けだしてるようである。(2002年7月)

 

砂+二酸化炭素
 
施設が大がかり(二酸化炭素ガスボンベ)、高価
・・・・・未調査、未体験

 

100円市粘土(紙成分入り?)
表示は「土のみ」の様なことを書いてあったがメリメリと割ってみると紙のような成分が感じられた。しかし意外にも問題はなかった。
水蒸気爆発に注意。充分な乾燥が必要。鋳造体験記3
・1週間の自然乾燥(昼はファンヒーターの近く)でも不十分だった。(2002年3月)
・4日間の残暑厳しい夏、車の中の乾燥でも不十分だった(2002年9月7日)
・電気炉での乾燥でうまくいった。(2002年9月7日)


・充分な乾燥後は意外にも繰り返し使うことができた。但し細かな模様はどんどんぼやけていった。
・乾燥が大切。中古オーブントースターでも試してみたい。

 

石膏
 
 
・・・・・・指輪(小さな作品)はやってみたが、バックルの様な大きさは未体験
鋳造体験記1

 


金属または作品


青銅(銅300g+錫100g)
融点降下が大変よくわかる。
若干硬く、落としたりすると割れることがある。
今回の「元祖、青銅鏡作り」
鋳造体験記2

 

砲金(銅+錫+亜鉛)
粘性は少し増す。
青い炎が不安
亜鉛を購入したところ、理科室で使うようなコーンフレークのような形。
これを液体状になった青銅の中に入れてもすぐに沈んでくれない。
そのまま空気と化合して青い炎がたくさん出るようである。
竹内合金さんから教えていただきました。

 

砲金もどき(銅+錫+真鍮(銅+亜鉛))
・粘性は少し増す。
・上記コーンフレーク状の亜鉛よりうまくドボンと沈んでくれる。
・切断や切削で出た屑のリサイクルにもなる(?)
・これでもイケる。
・「銅:錫:亜鉛」の混合重量比の計算ができない。(使った真鍮の成分比が不明の為)
・多すぎるとやはり青い炎が不安。
上記コーンフレーク状の亜鉛を使い、「何か延べ棒状態の亜鉛がないものか?」と考え、これに至った。

 


ピューター(pewter)
 
手軽に加工できる
 
錫:91〜93% アンチモン:5〜7% 銅:1〜2%
溶解温度:約240度、鋳造温度:約280度 

 

低融合金 
かなりの低温で融かすことができる。
カドミウム、ビスマス、アンチモンの健康に関する事が不安。
 

 

減摩合金
 
 
調査中・・・・・

 

アルミニウム
サッシ枠や空き缶リサイクルでもできる。
比重が低いため水蒸気爆発には更に注意が必要。鋳型を充分完成させること。閉鎖型の鋳型では万が一の為にガス抜きの穴を作ってやること。
アルツハイマーとの関連性を充分調べたい。インターネット上では賛否両論
アルミニウムで文鎮を作ろう

 

型どり剤

おゆまる
 
 
 

 

寒天
衛生的
低温が必要
「寒天で作った鋳型」に「融かしたロウ」を流し込む事ができるらしい。

 

石膏
 
私は失敗してばかり。
美術の本を見ると、型どり剤としても、鋳型としても一般に使われているらしい。

 

シリコンゴム
自由度はかなり高く、弾力もあり、ものによっては熱にも強い・・・・らしい。
高価
 

 

ねんど消ゴム
 
 
上記、原型を参照。

温故知新

各産業界のプロの方の方法を知りたいと思う。

・そもそも古代において青銅器はどのように作られていたのか?
 青銅鏡、銅鐸、銅剣、銅貨
 古代日本、朝鮮半島、中国近辺
 エジプト、西洋近辺
・そもそも現代において鋳造はどのように行われているか?
 美術彫刻家(個人レベル)
 指輪、ペンダント、ネクタイピン、バックル
 プラモデル、100円市のプラスチック製品
 エンジン部品(オートメーション企業レベル)

他、以下のものも体験して何か参考になるものがあれば取り入れたいと思う。
・ロストワックス法

・アートクレイシルバー(銀粘土)
 東急ハンズ新宿店、相田化学工業株式会社 http://www.artclay.co.jp/

・オーブン粘土


初回製作:2002年3月20日
最終更新:2003年8月15日

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